どんな本
数年前に購入して積ん読状態だった本。東北学院大学のとあるゼミの学生の論考を集めた本。
目次
- 第一章 死者たちが通う街 タクシードライバーの幽霊現象
- 第二章 生ける死者の記憶を抱く 追悼/教訓を侵犯する慰霊碑
- 第三章 震災遺構の「当事者性」を越えて
- 第四章 埋め墓/詣り墓を架橋する 「両墓制」が導く墓守りたちの追慕
- 第五章 共感の反作用 被災者の社会的孤立と平等の死
- 第六章 672ご遺体の掘り起こし
- 第七章 津波のデッドラインに飛び込む 消防団の合理的選択
- 第八章 原発避難区域で殺生し続ける
- プロジェクトを終えてト
感想
霊性というのは結局よくわからないので置いておく。第一章がタクシードライバーの心霊体験の話だったけど、端的に文章が読みづらかった。でもこういう話を集めに現場に行ったというのはすごいことだと思う。
読んでて第五章は、震災の二次災害というか仕方のないこととは言え、被災者の頭を飛び越えてより悲惨な現場が注目されていく状態がもたらす苦痛について生々しい言葉が述べられている。また生々しさでは第六章も同様で震災時の遺体処理の実情がわかる。厳しい中でもチームを保つにはどのように保ったのかなどもそうか、、と。
そして第八章についてはちょっと異なっていて、帰還困難地域内で野生化した動物や繁殖した猿や猪などの動物の駆除をボランティアで行っている猟友会のお話。ガチの手弁当で駆除し続ける人たちの思いについての論考となっていて面白かった。
まとめ
最初文章が読みづらくきつかったけど、学生の論考だしそんなもんだよねと我慢して読み進めたらためになり面白かった。第一章については違和感が拭えない(心霊的な現象をそっちから切り取るのか、という感想)けどまあそれは私の好みと違っただけだろう。2015年頃に作られた文章なのだけれども震災遺構の問題にも触れているし街の復興にあたっての問題にもお墓という視点から触れてたりあの震災がもたらす広範囲な影響について、改めて考えさせられた。