昨年末に読み終えた本。Facebookに読書感想文を載せていたのでここにも同じ文章をコピペ。文章は2020年末に書いたもの。

本文

 今日やっとこの秋から読み始めていた『戦争は女の顔をしていない』を読み終えました。私が今まで読んできた各種戦争に関する本とは全く異なる本で大変素晴らしい本でした。WW2で従軍したソ連赤軍女性のインタビュー集なのですが、最初なかなか出版できなかったというのも分かるほど生の声を読むことができます。

 またこの本は女性へのインタビュー集ですが(ごく一部男性兵士へのインタビューがあります)、別に銃後の生活をしていた人にインタビューしたのではなく、狙撃兵や高射砲兵、衛生兵、パルチザンとしてあの戦争に関わったした人々が主な対象です。その中での言葉は大変重く暗いもので、たとえ「そんな中でも女の子としての自分を大事にしていた」といった文章が書いてあっても、基本的には読後感は「なるほど、これが読む地獄か」というもので軽々に人様にお勧めはできません。しかしそれでもなおこの本は反戦とかそういう次元ではなく読む価値のあるものだったと思いました。

 なおこの本は2015年ノーベル文学賞受賞者スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの主著ですが、このほか『ボタン穴から見た戦争』『アフガン帰還兵の証言』『チェルノブイリの祈り』『セカンドハンドの時代』が日本語で読めるようです(ただし『アフガン〜』は絶版で古本も超高い)。

 この他、本作は最近漫画になっていて、Webで連載されているのでそっちの方が読みやすいかもしれません。少なくとも絵は『狼と香辛料』のコミカライズをした方なので良いです。

 年末年始に「読みました!」と紹介するような本では全くありませんが、私としては今年読んだ数少ない本の中ではこの本が一番刺さるものになったのでした。