現代の戦争を扱った映画ってそこそこあるけど、あんまりグッとくるものがない。原因は現代で戦争映画を作るとなると背景の複雑な問題を無視するわけにはいかないからじゃないかなあと思う。あの、ブラックホーク・ダウンだって、申し訳程度にせよとっ捕まえたアイディド派の幹部に米国の矛盾的なものをしゃべらせてるしなあ。しかし好きなものは好きなのでとりあえずきになるものは映画館、レンタル問わず見ているわけだけど、現代戦ものは最近はこのくらいみた。結構有名なものばかりだと思うけど、たぶん4〜7の4つの作品は知らない人が多いと思う。

 あとやはり「アメリカが正しいんだ!馬鹿なテロリストどもをぶっ殺して平和にするんだ!」感が近年のものは強いね。ポリティカルコレクトネスに配慮したものなのか、実際の米兵の気分を表現したものかよくわからないけど、アメリカン・スナイパーなんかも特にこのような考え方が見えてすごい。その点ハートロッカーとかクロッシング・ウォーは批判的に作ったつもりかもしれないけどいかんせん雑で微妙すぎる。シャドウカンパニーは純粋にドキュメンタリーで民間軍事会社に興味を持ったら観て損しない。というわけで以下は適当な感想文。
1.アメリカン・スナイパー(劇場)
=>”ラマディの悪魔”と呼ばれた米海軍特殊部隊のスナイパーが書いた実話ベースのお話。本人は除隊後にPTSDを抱えた帰還兵の支援をしに射撃場に行って、その支援対象の帰還兵に射殺されてしまっている。帰還兵の問題はベトナム戦争後しばらくはなかったことになっていたけど、湾岸以降米国内でも問題になっているんだろうなと思わせる。しかしこの「ならず者を俺がぶっ飛ばすんだ」という謎正義感はすごい。
 この作品だとPACAアーマーにスカルフェイスをスプレーで描いたマークがかっこよかったね。装備も3Cデザートの上下とか、普段はM4とスナイパーライフル2丁持ちだけど歩兵に同行する際にはMk11 mod0を持ち歩いていたりする。アメリカとイラクの往復でどんどん頭がおかしくなっていくところが怖い。



2.ローン・サバイバー(レンタル)
=>米軍が2005年にアフガニスタンで行って失敗した”レッドウィング作戦”でSEALsの偵察チームで唯一生き残った人の書いた本が原作。米兵が崖転げ落ちて逃げたりびっくりする。あれ本当にやったんだったらSEALsの連中は本当すごいね。登場人物ほとんど死ぬ。でもなんかこう、実際にあった話なのに映画化すると「米軍人道的っすよ!」アピールがすごくて辛い。
ローン・サバイバー [Blu-ray]
マーク・ウォールバーグ
ポニーキャニオン
2014-09-02



3.ゼロ・ダーク・サーティ(レンタル)
=>こいつはビンラディン殺害の"ネプチューン スピア"作戦についての映画で、公開時は世間でもこの映画については触れられていたから知っている人は多いのではないかなあ。CIAがとっ捕まえたテロ容疑者を拘留していた、いわゆるブラックサイトを再現したようなセットなど、なかなか雰囲気がある。ストーリーは、実は戦闘シーン軟化は最後だけで、ビンラディンを頑張って追い詰める過程がメイン。でもHK416と四つ目の暗視装置で突入するシーンとかかっこいい。実際には全員がHK416なわけじゃなくてMP7A1持ってた兵士もいたらしいけどね。



4.ネイビーシールズ(DVD購入)
=>現役の米海軍特殊部隊「SEALs」のメンバーが出演している映画で、室内突入時のシーンは過去の映画にない素晴らしい出来だと思う。この映画観た後他の映画の突入シーン見ると萎えるくらいかっこいい。一方で映画のストーリーは特にない。一応あるけど問題じゃない。この映画は本物の装備と身のこなしを楽しむだけで良いと思う。ルートアイリッシュの黒い感じは好ましいが映画自体地味で売れないよなと。



5.シャドウ・カンパニー(DVD購入)
=>5はドキュメンタリ作品。現代の戦争には不可欠な存在になっている民間軍事会社「PMSCs(PMC)」についての映画で、イラクで警備任務中に襲撃されたあるオペレータの話をちょいちょいはさみつつ、P・W・シンガー氏なんかも出演している。ドキュメンタリなので派手な戦闘シーンはゼロだけど、PMSCsの活動の一端を知りたい人は見たらいいと思う。でもレンタルできるところはないだろうな。
Shadow Company [DVD] [Import]
Alan Bell
Passion River
2008-12-02



6.クロッシング・ウォー(レンタル)
=>この間見たドイツ軍のアフガニスタン派兵についての映画。作品としては駄作感がハンパないけど、現代のドイツ陸軍の装備を映像で観てみたい人は良いかもしれない。ていうかもうちょっとなんとかできなかったのだろうか。
クロッシング・ウォー 決断の瞬間 [DVD]
ナルト・ツェアフェルト
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
2015-04-08



7.ルート・アイリッシュ(劇場)
=>これは5同様イラクの話。イラクでのPMSCsの活動中に謎の死を遂げた親友の真相を突き止めようとする主人公の話。暗く救いの無い話だけど、これもPMSCsの活動の一端が垣間見えるんじゃないだろうか。ちなみにルートアイリッシュってのはイラクのバグダット国際空港からバグダット市内のグリーンゾーンを結ぶ幹線道路の一つに付けられた名前。PACAアーマー着たオペレータの格好をサバゲのおkスプレジの参考にしたいとか、ライトな拷問のやり方を見てみたい人はどうぞ。ただ本当に暗いのと、一般的な戦争映画だと思うと違うので注意。これは戦争が舞台のサスペンス映画。
ルート・アイリッシュ [DVD]
マーク・ウォーマック
KADOKAWA / 角川書店
2012-09-07



8.ブラックホーク・ダウン(レンタル)
=>90年代にソマリアで起きた戦闘がモデルの映画。原作がその作戦に参加した人だから登場人物がニコイチになってたりするけど戦闘の流れはほぼ一緒。全編ドンパチで政治性は申し訳程度。勇敢な米軍がんばったね!ってくらいなのでこれもアクションを楽しめばいいんじゃないでしょうか。リドリー・スコット監督が戦争映画作るとこうなるのか―という感じだった。
ブラックホーク・ダウン [Blu-ray]
ジョシュ・ハートネット
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2014-11-12



9.ハートロッカー(レンタル)
=>イラクで爆発物処理(EOD)を行う兵士を主人公に描いたキャスリン・ビグロー監督の映画。反戦風味のスパイスをかけたかったんだろうけど雑だったな。最初の主人公の前任者が死ぬシーンがある意味ピーク。あとこの映画でもPMCのオペレータが出てくるんだけど、印象薄いなあ。世間的にはEOD班で負傷して国に帰る兵士のセリフなんかが米国内の保守派からの批判に晒されてたけど、あのシーンは単純にダサいよ。同じこと言わせるにしてももうちょっとやりようがあったんじゃないかねぇ。主人公がEODチームの人ってことで興味深かったけど結局そんなにグッとくることもない作品になっちゃったのは残念。
ハート・ロッカー [Blu-ray]
ジェレミー・レナー
ポニーキャニオン
2010-09-02



上記の映画を適当にカテゴライズするとこんな感じ。
 ◎ドキュメンタリー:5
 ◎PMCがでてくる:1、5、7、9
 ◎中東が舞台:1、3、7、9
 ◎アフガンが舞台:2、6
 ◎アフリカが舞台:8
 ◎中南米が舞台:4
 ◎本物の特殊部隊隊員出演:4
 ◎女性監督:3、9