援交という言葉は私が高校生くらいの頃に世間でよく聞いた言葉で、1996年の流行語大賞にもなった。以降若年層の売春については大雑把に「援交」とくくられていたように思う。これが最近はいろいろなスタイルに変化し、その一形態が「ワリキリ」。語源は「割り切り」で、本書によると
ということで、素人売春の一つのパタン。で、この売春を誰がどうやってやってのは本をどうぞ。タイトルから分かるように全く読んでいて読後感が素晴らしいとかにはならない。暗くなる。それと「普段我々が無かった事にしている現実」といったことを考えさせられる。でこれはツイッターでも書いたけど、東日本大震災や福島第一原発の事故と同様の「無かった/無い事にするな」というお話の一つだなと。
それはそれとして、このような風俗問題が出ると当然のように「規制を強化しろ」だの言う先の見えんガキめ、としか言いようの無い人間が得意げに大声をあげるわけだ。しかしそれをしたところでじゃあ今、この日本で「売春するしか無いんだけど」という人がちゃんと急に働けるようになるのかと。そりゃ規制強化すりゃ街からは「見えなくなる」。見えたら捕まるから当然。でもそれだと結局社会の問題は解決しない。規制した人はせいせいするかもだけど。その難しさは、売春それ自体問題だけれども、売春をするというのが「結果そこにたどり着いてしまう」人たちの問題を抜きにしては語れないのに、そっちを無視して表面を規制した結果そこでやっと社会にしがみついてた人にとどめさす事になるという点にあるのかなと。
最後に長いけど引用(P312-313)。エピローグ直前のページから。多分本書はこれを言いたかったんだなと思う。
正直個別のケースについては「お前馬鹿だろ」と思う点が無くもない。でもそれも含めて私たちは社会の斥力とワリキリの引力の関係を改善させなければならないはずだ。
お金だけで割り切った、大人の関係。カジュアルな言い回しを装ってはいるが、ようは売春行為(ウリ)のことだ。
ということで、素人売春の一つのパタン。で、この売春を誰がどうやってやってのは本をどうぞ。タイトルから分かるように全く読んでいて読後感が素晴らしいとかにはならない。暗くなる。それと「普段我々が無かった事にしている現実」といったことを考えさせられる。でこれはツイッターでも書いたけど、東日本大震災や福島第一原発の事故と同様の「無かった/無い事にするな」というお話の一つだなと。
それはそれとして、このような風俗問題が出ると当然のように「規制を強化しろ」だの言う先の見えんガキめ、としか言いようの無い人間が得意げに大声をあげるわけだ。しかしそれをしたところでじゃあ今、この日本で「売春するしか無いんだけど」という人がちゃんと急に働けるようになるのかと。そりゃ規制強化すりゃ街からは「見えなくなる」。見えたら捕まるから当然。でもそれだと結局社会の問題は解決しない。規制した人はせいせいするかもだけど。その難しさは、売春それ自体問題だけれども、売春をするというのが「結果そこにたどり着いてしまう」人たちの問題を抜きにしては語れないのに、そっちを無視して表面を規制した結果そこでやっと社会にしがみついてた人にとどめさす事になるという点にあるのかなと。
最後に長いけど引用(P312-313)。エピローグ直前のページから。多分本書はこれを言いたかったんだなと思う。
仮に喫茶やサイトのあり方を批判し、取りつぶしを行ったとき、そこでワリキリを行っていた女性たちがどういう結果になるかは容易に想像がつく。
(中略)
そうして、女性の人権を憂う者であれ、アングラ社会の衰退を願う者であれ、その意図と反する結果が訪れるだろう。蓋を開ければ、風俗企業や警察だけが笑顔を浮かべる、それだけだ。オマケで、わかりやすい成果だけを誇りたい政治家の笑顔もついてくるかもしれない。
(中略)
では、これから僕たちは、どこに向かえばいいのだろう。その答えはすでに出ているはずだ。n個の社会問題の数だけn個の排除の数だけn個の処方箋、n個の排除の数だけn個の包摂を。買春男に彼女たちを抱かせる事を止めたいなら、社会で彼女たちを抱きしめてやれ。そうすれば事態は幾分、マシになる。彼女たちの売春、それは僕たちの問題でもあるのだ。
正直個別のケースについては「お前馬鹿だろ」と思う点が無くもない。でもそれも含めて私たちは社会の斥力とワリキリの引力の関係を改善させなければならないはずだ。