出版直後から気になっていた『独立国家のつくりかた』を読み終えた。「0円ハウス」などの活動を実践してきた著者、坂口恭平氏の活動がまとまっている新書な訳だけど、これは面白い本。私は基本、この本に書いてある事に納得できていないけど、そう思える。納得できないのは簡単で、彼の「都市の幸」は他のインフラが無いと成り立たないから。この辺りの違和感は結局最後まで拭えない。ただ、全編を読んで「態度経済」と著者がのべている部分は贈与経済などと呼ばれてきた部分と重なるのかなと思う。技術屋にはオープンソース的な考え方をもっと社会に押し広げた感じ、と説明してもいいと思う。そしてこの本の「現実世界を新しいレイヤーを通してとらえ直す」という考え方はとても面白い。
 
 もちろんさっき書いた都市の幸的な話や、震災への態度については賛同できない。それでもこの本は『独立国家のつくりかた』というタイトルの過激さと裏腹に、真摯に自分の考えるところを書いている本だと思う。
 
 とりあえず私はこの本を読んで「思考をやめるな」「やれることからやれ」というあたりを吸いとって本を閉じた。上で真摯と書いたけど、文面的には著者が自覚している通り断定的で「乱暴すぎだろ、それ!?」と思うような文章もあるけど、その違和感も面白いといえるような本だった。
 
 あ、最後にこの著者の『独立国家』という字面で「何こいつ独立するの?日本で?」とか考えちゃいけない。本人はどう考えているか知れないけど、私はこの『独立国家』は時々刻々と変化する芸術作品だと捉えた。それでいいんじゃないかなあ。

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)
独立国家のつくりかた (講談社現代新書)